
10年~20年ほど前、自転車旅行といえば、「ランドナー」と言われる車種を使うのが基本となっていました。しかし、今となってはランドナーという言葉自体ほとんど耳にすることはなく、大半は「ツアラー」などへ変化しています。
多くは規格やライドスタイルの変遷で昔ながらのランドナーはほぼ消滅してしまっていますが、形や名前を変えて旅仕様の自転車が今日も多く残っています。
それでは元々のランドナーと、現代のツーリング車を紹介していきたいと思います。
ランドナー
(出典:丸石サイクル)
規格として26inch径のホイール、泥除け、前後キャリア付きのスタイルがわかりやすい「ランドナー」です。
当時はデュアルコントロールレバーがなかったため、ダウンチューブにWレバーを付けていました。ブレーキレバーからワイヤーが真上に出ているのも当時の部品ならではですね。
変速周りは、今でいうクラシックスタイルのロードバイクと変わりませんが、タイヤ径と幅が広めのタイヤを履いていたことが特徴です。
(出典:PRインターナショナル)
前後のパニアバッグと、ハンドルバッグで圧倒的な積載量を誇っていました。
フレームも頑丈な鉄製で、壊れても近くの整備工場で溶接して走れることを前提としていた作りだったそうです。
フレームにピッタリ嵌まる携帯ポンプや、予備スポークを搭載するパーツなど、どんなトラブルに遭っても走り続けられるようになっています。
舗装されていないダートも走る前提なので、太いタイヤにカンチブレーキが主流でした。
スポルティーフへ
(出典:サイクルヨーロッパジャパン)
ランドナーとあまりスタイルは変わりませんが、今と同じ700cホイールを装着するバイクを、ランドナーと区別して「スポルティーフ」と呼ぶこともあります。あまり厳密な定義はありません。
ホイールの大径化により、高速域の走りやすさが向上しています。
舗装路メインなので、ランドナーほどのオフロード対応力はありませんが、舗装路の走行性を高めています。
この頃からフロントキャリアが必須装備ではなくなってきます(もちろん後から装着することは可能)。
キャリアの付く700Cスポーツ車は、太めのタイヤが入るものでツアラーとして荷物を積むツーリング向けになってきます。
(出典:サイクルヨーロッパジャパン)
近年ではツーリング向けのモデルにはディスクブレーキが装着される場合もあります。
重い分制動力が必要とされるので、必然的な進化と言えるでしょう。カンチブレーキは制動力が低いので・・・
バイクパッキング
(出典:Apidura)
ここ数年で確立した言葉です。ロードバイクやMTBなど、車種はほぼ問いませんがキャリアを使わずに荷物を積んでツーリングを行うスタイルを指します。
フレームバッグやサドルバッグを多用することで意外と多くの荷物を積むことができ、尚且つ走行性も可能な限り追求しています。
制限時間内に長い距離での完走を目指すブルベでよく見るスタイルですが、ブルベからバイクパッキングという概念ができたのか、フレームバッグの流行からバイクパッキングという概念が出来たのかはいまいち不明です。
最後に ツーリングの高速化
ツーリングスタイルの変化はスピードの追求と重なります。かつて未舗装路だった道も、今では舗装されて太いタイヤが必須でなくなりました。
そのような環境でより快適にツーリングをするという目的を突き詰めた結果、本来の走行性能と積載量を兼ね備えるスタイルに進歩してきたのではないかと思えます。
旅人を支えた自転車。ランドナーの今昔 is a post from: FRAME : フレイム