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荒サイなどを走るサイクリストは全員加入義務がある!? 自転車保険の義務化、その必要性と選び方

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4月から自転車保険って絶対必要なの?


▲東京都と埼玉県にまたがる荒サイは自転車保険要加入だ(C)猫ちぐら

▲東京都と埼玉県にまたがる荒サイは自転車保険要加入だ(C)猫ちぐら



 全国に先駆けて、2015年10月から兵庫県では自転車保険(個人賠償責任保険)の加入が義務付けられた。大阪府は2016年7月から、滋賀県と鹿児島県、愛知県名古屋市は2017年10月からと続き、2018年4月からは京都府と京都市、埼玉県、石川県金沢市で義務化される。

 「いざ」という時の支えとして保険が役立つことは改めて説明するまでもないが、なぜ今になって義務化する自治体が増えているのだろうか? 背景として自転車が絡む重大事故で高額な賠償金を請求されるケースが増えており、被害者の保護と加害者の賠償責任負担減のために意識の高い自治体が加入を促進している。

約1億円の賠償金。あなたは支払えますか?


▲1億円の賠償金を自費で用意できる人は少ないだろう

▲1億円の賠償金を自費で用意できる人は少ないだろう



 クルマの場合は購入時と車検のたびに自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)に強制加入となっているが、これまで自転車には保険の加入義務がなかった。

 2008年に神戸で起きた小学5年生の児童が62歳の女性に衝突した自転車事故では、2013年に判決が出て9,521万円という高額な賠償金を請求され話題となったので、ご存知の方も多いだろう。なぜそこまで高額なのかという疑問の声もあったが、内訳を見ると納得できる。事故後に意識不明となり、その介護費用が約4,000万円と算出されたためだ。

 加害者本人には賠償能力がないとして母親に支払命令が出たが、自転車保険に加入しておらず母親は自己破産を申請した。この判決をきっかけに地元の兵庫県では自転車保険の加入義務化が検討され、いち早く導入することになった。

 自治体は自転車保険の紹介に徹しており、義務化はするが保険会社は自由に選べるようになっている。この流れが定着してきているので、やがて全国に波及するだろう。保険の加入者が増えれば加害者側も被害者側も救われる。自転車活用を推進する上でもベースとなってくる。「自転車に保険など不要」と思ってきた方々も、義務化されるとなると真剣に検討せざるを得ない。

義務化された自治体を通過するのにも保険加入は必要!


▲ここから先は加入義務化の自治体。加入なしに通過はNG

▲ここから先は加入義務化の自治体。加入なしに通過はNG



 ではいったい、誰が加入対象となるのか? 

 制度のある自治体に住んでいる住民は全員対象だが、他県から自転車で走ってきて制度のある自治体に入る際にも加入が義務付けられる。例えば荒川下流の東京都から川沿いを遡上し、埼玉県へ入る場合も対象となるので要注意。ただし未加入時の罰則は当面設けられない。

 そう聞くと「なーんだ、入らなくてもいいんじゃないか」と思った方がいるかもしれないが、ちょっと待ってほしい。事故を起こして保険に加入してなかった場合のことを、どれだけ真剣にイメージできているだろうか?

 事故を起こそうと思って起こす方はいないだろうし、ママチャリに乗っていても人に衝突すれば相手が亡くなることがある。自転車に乗る機会がある方は全員が保険に加入するべきだ。死傷事故を起こしたあとの人生を想像したことがおありだろうか? 一生を棒に振ってから後悔しても遅すぎる。

どんな自転車保険に加入すべきか?


保険選びで押さえておきたい3つのポイント


▲ロードサービスありだと、人里離れた場所でのトラブルにも対応してもらえる

▲ロードサービスありだと、人里離れた場所でのトラブルにも対応してもらえる



 まず、自治体の条例では個人賠償責任補償のついた自転車保険に入ることとなっている。一口に自転車保険と言ってもさまざまな種類がある。

主に、加害者になった場合の「個人賠償責任保険」と自分が怪我をした場合の「傷害保険」があるが、選ぶポイントとしては、

① まず、賠償額が1億円以上の保険を選ぶ
② 次に、示談交渉代行サービス付きの保険を選ぶ
③ さらに、ロードサービスがついているか確認する


この3点をベースに、保険料や契約内容を考慮して選ぶといい。

①については過去の判例から見て、最低でも1億円の補償額は確保したい。中には最大補償額が3億円という保険もある。

②については過失でケガをさせたり、物を壊してしまったりした相手に謝罪した上で、損害賠償の示談交渉を自分で進めるのは精神的な負担が重く、また知識のない素人が簡単にできるものではないのでプロにやって(代行して)もらうべき。

③保険会社によっては、トラブル時に駆けつけてくれるロードサービスが付帯した保険もある。周りに自転車店のない山中で故障した際なども安心なので検討してもらいたい。

自転車保険比較サイト

いま入っている保険の特約を確認してムダをなくそう


▲新たに加入しなくても、自動車保険の特約に含まれている可能性もあり

▲新たに加入しなくても、自動車保険の特約に含まれている可能性もあり



 自転車保険に含まれる個人賠償責任保険は、マイカーの自動車保険や自宅の火災保険の特約としてすでに加入していることがある。気をつけないと複数の保険を契約してしまうことになり、補償が重複してしまって無駄な投資となってしまう。

 加入義務化が決まった自治体でも、個人賠償責任保険に加入していれば傷害保険が付帯する自転車保険でなくても大丈夫だ。ひとつの契約で本人と配偶者、同居の親族のほか、別居の未婚の子も補償されるケースもあるので、余計な保険料を支払うことにならないか契約の前に確認しよう。事故の補償は「賠償=実額✕過失、傷害=定額」(ケース・バイ・ケースではある)で支払われるが、警察官の作成した事故調書をもとに保険会社間で共有されるので、1つの保険で十分な賠償額があれば、複数の保険会社と同一内容の契約をする意味はない。

補償内容の落とし穴に注意を


▲子や孫など家族の補償対象は同居に限定されているので注意を

▲子や孫など家族の補償対象は同居に限定されているので注意を



 一方で、例えば親の火災保険で「同居の親族」が補償されていた場合、子が単身赴任したり、孫が一人暮らしを始めたりすると補償対象から外れてしまうので要注意。心配な方は一度ご自分が加入している保険の内容を確認してみるといい。

 よく分からない場合は保険証書を持って近くにある保険ショップ(「ほけんの窓口」など)を訪ねてみるのもいいだろう。丁寧に説明してくれて費用は一切かからない上、必要であれば自転車保険の案内もしてくれるし契約も可能だ。しつこく勧誘されることもない。

 注意したいのは火災保険などの特約だと、示談交渉代行サービスが付帯していない場合があること。また事故で自分がケガをした時の傷害保険も必要ならば別途契約する必要があるので、何が必要で、どの保険に入ればいいのか、プロのアドバイスも聞いて損をしないよう調べておこう。

義務化されていなくても、事故への備えに加入しよう


▲「ちょっとそこまで」のつもりでも、歩道上であれば事故の際の過失割合は重い

▲「ちょっとそこまで」のつもりでも、歩道上であれば事故の際の過失割合は重い



 2010年3月に法曹界で話し合いがあり、歩道上で自転車と歩行者が衝突する事故が起きた場合は、自転車の過失割合が10(注:自転車が100%悪い)から審議開始されることになったのをご存知だろうか? 加入が義務化された自治体に住んでいる方は、この際だから入ってもらいたいが、それ以外の地域に住んでいる方でも自転車に乗るなら保険には加入しよう。

これまで自転車の場合は保険に入る人が少なかったけれども、賠償金が高額化していることもあって、少しでも乗る機会がある方は備えておくべきだ。年間にするとわずかな保険料だが、事故を起こした時には大きな備えとなる。自転車保険に加入するのが常識という時代がくれば、参入する保険会社は増えるし、補償内容ももっと選べるようになるだろう。

 ひとたび事故を起こして加害者になれば、被害者やその家族に対する謝罪は当然ながら、経済的・精神的な負担も少なくない。1日も早く自転車も無保険車ゼロを目指したい。

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