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見た目だけじゃない!ディープリムを使いこなせ!

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自転車の歴史の中では、空気抵抗を克服するために様々なアイデアが実現化されました。

その中でも定番化したのが、ホイールのリムハイトを高くした”ディープリムホイール”です。
FABIAN CANCELLARA ON STAGE FIVE OF THE 2011 TOUR OF OMAN

(出典:cycling weekly)

もともとトラック競技で誕生したディープリムホイールは、軽量なカーボン素材の台頭により、起伏のあるロードレースでもコンスタントに使われるようになりました。

今では技術も成熟し、高剛性化など様々な利点が生まれたため、山岳ステージでもディープリムホイールを使うプロレーサーもちらほら…。

今回はそんな、ディープリムの利点と欠点を整理してみました。

ディープリムのメリット

高速域での空気抵抗を減らせる

自転車が前に進む乗り物である以上、速く走ろうとする行為は、そのままいかに空気抵抗を打ち破るかの戦いであると言ってよいでしょう。

事実自転車が前に進む際に抵抗になる力のうち、およそ80~90%は空気抵抗と言われています。残りはタイヤの転がり抵抗と、ドライブトレインや人間の摩擦、または加減速時の加速度抵抗です。

下の図はcervelo社が平坦なベロドロームで4km自転車を走らせた時に、ライダーの出力エネルギーがどの抵抗に消費されたか内訳を示したものです。

この図を見ても、自転車の回転部の抵抗を減らしたり、パーツの重量を軽くするよりも、空気抵抗を減らしたほうが速さのためには何倍も有効であることがわかります。

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(出典:cervelo)

トラックの後ろなど強烈なスリップストリーム環境であれば、空気抵抗はほぼゼロになるため通常のロードバイクでも100km/hを軽く超える速度を出すことも可能です(良い子は絶対真似しないでね!)。



さて、そんな自転車乗りの大敵である空気抵抗ですが、全体のうち約80%が人間の体に当たる風によるもので、これはなかなか減らすのが難しい。なにせ人間の体の形状を変えることはできませんからね。

一方、空気抵抗全体のうち約10%はホイールが占めていると言われます。つまり計算すると、自転車で前に進む際に抵抗になる力のうち、8~9%がホイールの空気抵抗によるものです。こうしてみると結構影響があると思いませんか?

そして肝心のディープリム化によるホイールの空気抵抗軽減効果ですが…

実は一概に数字を出すことはとても難しい。

なぜかと言いますと、ホイールは回転体であるがゆえに、空気抵抗の大きさを決める因子がリム形状だけでなく、スポークの本数や形状といった因子も関係する多変数パラメータだからです。

ただし傾向的にリムが高いと高速域での空気抵抗が小さいことは間違いありません。このページでは各社のホイールの50km/h走行時の空気抵抗を風洞で計測していますが、それらをリムハイトごとにプロットすると以下のようになります。

下に行くほど空気抵抗が小さいのですが、全体的にリムの高さが高くなれば空気抵抗が小さくなる、右下がりの傾向が見て取れると思います。

もちろん速度40km/h、30km/hでは結果が違ってきますが、高速になればなるほどディープリムが有利なことには間違いないでしょう。

ホイールの剛性が高くパワーロスが少ない

ホビーライダーの中でも大柄な方などは、ホイールの硬さによってはたわみを感じるかもしれません。

ホイールのたわみはパワーロスに繋がるため、エネルギー効率という観点で見ると無限に硬いホイールこそが最も優れたホイールです。実際には硬すぎると脚への反力が強いため、適度な硬さというものがありますが。

さて、ホイールを硬くする方法にはいくつかあって、

・スポークテンションを上げる

・スポークの本数を増やす

・リムハイトを上げる/リム剛性を上げる

などの手段があります。この内、ディープリムホイールはリムにボリュームをもたせて剛性を確保できるため、同じスポーク本数、テンションでもロープロファイルホイールとくらべて剛性を高くできます。

プロ選手が山岳でディープリムを使う理由には剛性の問題もあるようです。

定速巡航が楽

ディープリムは外周部が重い分、ロープロファイルホイールに比べ回転モーメントが大きいです。

つまり、回すためには大きなエネルギーが要るし、回転を止めるためにも大きなエネルギーが必要とされます。

一見これはデメリットに思えますが、定速で長距離を走行する場合は一度スピードに乗れば減速しにくいため、トライアスロンやフラットステージでは重量増を承知で高いリムハイトのホイールを履くことが多いです。

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(出典:triathlete)

見た目がかっこいい

説明不要。見た目だけじゃないけど見た目は大事だよ!

特に昨今のエアロ形状に凝ったフレームには、ロープロファイルよりもディープリムのほうが圧倒的に似合います。

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(出典:GIANT公式)

ディープリムのデメリット

重い!

いくら軽いカーボンを用いているとは言え、リムに用いる材料が単純に増えるため、ロープロファイルホイールに比べると200g以上重くなることがほとんどです。

また単純に重いだけでなく、回転体であるホイールの、しかも回転モーメントに最も影響する外周部の重さが増しているため、踏み出し、アタックなどの加減速時にはどうしてもペダリングが鈍る感覚があります。

バイクを軽量チューンしたい方や、ヒルクライムメインの方などは、ディープリムの採用には慎重になったほうが良いでしょう。

Peter Keennaugh checked the situation on the final climb. Kennaugh finished in the top ten on the stage, and sits fifth oveall. Photo: TDWsport.com

(出典:velonews)

高い!

ディープリムはカーボンを使用することを前提にしていますので、必然的に価格が高くなります。

アルミリムのディープリムもあるにはありますが、恩恵よりも負の側面が気になるようになり導入するだけ損になる可能性もあります。

興味がある人はLightweightやCampagnoloのディープリムの値段を調べてみてください…度肝を抜かれますよ。

横風に弱い!

ディープリムは前方からの風にはめっぽう強いですが、横から風が吹くと風をモロに受ける抵抗板と化します。

特に操舵に関わる前輪のディープリムに突風などが当たればバイク挙動にも影響し、最悪の場合落車しかねません。

トライアスロンのセッティングで前輪をディープリム、後輪をディスクにしている選手が多いのは、前輪をディスクにするとリスクが大きすぎるという理由もあります。

それに対し風の吹く心配のない屋内のトラック競技では、前輪後輪にディスクホイールを採用している選手を多く見ることができます。

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(出典:the telegraph)

まとめ:ディープリムはどんな人に向いているか

メリットもあればデメリットも多いディープリムですが、使いこなせれば強力な武器になることは間違いありません。

ロード乗りの間では決戦でディープリムを履くときに「最終兵器」とか「飛び道具」とか呼んだりもします。

上に書いた特徴を踏まえると、以下のキーワードにピンとくる人は導入を考えてもいいのではないでしょうか。

・平地メイン

・脚力に自信あり(重いホイールでも回せる、巡航速度が高い)

・大柄

・トライアスリート

・見た目命

ちなみに自分は貧脚ですが完全に見た目でディープリム購入しました!アディオス!

(TOP画像出典:HolySpokes)

見た目だけじゃない!ディープリムを使いこなせ! is a post from: FRAME : フレイム

 

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