
愛車のメンテナンスは自分でやりたいけど、何をどうやっていいのか最初はわかりませんよね。ここでは、自分でメンテナンスを始める上でどのような作業をするべきなのか、またはお店にお願いするべきなのか、基本的な作業工程を順を追ってご紹介します。
メンテナンスの基本工程は7段階あり、以下のとおりです。
1.タイヤの空気圧、接地面の確認
2.ホイールの振れ取りとクイックリリース等の車軸の締まり具合の確認
3.ハンドル周り、シート周り、クランク周りの確認
4.前後ブレーキの確認、調整
5.前後ディレイラーの確認、調整
6.チェーンへの注油
7.フレーム、フォークの汚れ落とし、ワックス塗布
以上7つの工程を順を追ってご紹介していきます。
1.タイヤの空気圧、接地面の状態、クイックリリース等の車軸の締まり具合の確認
a.タイヤの空気圧の確認
ほとんどのタイヤはサイドに適正空気圧が表示されているので、それを確認しましょう。
b.タイヤの接地面とサイドの確認
摩耗によって割れていないか、パンクの原因となるガラス片、小石などが刺さっていないかなどチェックしましょう。写真ではスリップか何かで若干の削れた跡がありますが、これくらいなら大丈夫です。これ以上削れてしまうとタイヤの中の生地まで見えてきます。そうなるとタイヤ交換が必要です。
2.ホイールの振れ取りとクイックリリース等の車軸の締まり具合の確認
a.ホイールの振れ取り
ホイールの振れ取りは、左右に1mm以上横に振れていると調整の目安になります。振れ取りの作業はニップル回しという専用の工具が必要です。ホイールによってニップル回しのサイズは様々なので確認が必要です。振れ取り作業も経験が必要な部分が多いので、最初はショップスタッフに任せて徐々に覚えていく方が良いでしょう。
※例えばシマノのホイール、カンパニョーロのホイール、MAVICのホイールなどメーカーによって皆異なったニップル回しを使用します。
b.クイックリリースまたは車軸のボルトが緩んでいないか確認
ホイールがしっかり平行にはまっていないと、ブレーキやギアなど車体全体の調整がでません。まず前後車輪がしっかりはまっているのを確認してから全体のチェック、調整へと進むことになります。仮に、ブレーキやギアの調整を行ってから、ホイールが真っ直ぐ取り付けられていなかった場合、また初めから調整のやり直しになってしまいます。2度手間で余計な時間を食ってしまうので、作業順序(ルーティンワーク)が非常に重要になってきます。
タイヤ、ホイールは自転車のパーツの中で唯一地面と接触している部分です。乗り物として成立するためにメンテナンスが一番不可欠な部分なのです。
3.ハンドル回り、シート回り、クランク周りの確認
a.ハンドルのステムのクランプ部分の締まり具合をチェック
b.ステムとフォークコラムのクランプ部分の締まりもチェック
ロードバイクの場合、フォークコラムがカーボン製の際は、締め過ぎるとカーボンに亀裂が入ってしまうことがあるので、注意が必要です。もしカーボンのフォークコラムの場合は普段絞める力の8割程度に抑えておきましょう。
c.シートポストの締まりをチェック
ここもカーボンフレームやチタンフレームの場合は締めすぎるとフレームが変形してしまうので力加減は注意が必要です。
d.クランク周り(チェーンリングボルト)の確認
フロントチェーンリングを押さえているボルトです。5つタイプと4つタイプがあります。
e.クランクアームの取付ボルトの締め付け確認
取付ボルトの形、スタイルはクランクメーカーによって異なりますが、写真のようなシマノ製品のユーザーが多いと思います。
4.前後ブレーキの調整、確認
a.ブレーキパッドの角度と締まりのチェック
ブレーキ面に対してパッドが平行になっていることが前提です。このときブレーキレバーを握りながら調整するとやりやすいです。
b.ブレーキワイヤーがしっかり締まってるかチェック
パッド同様、ブレーキレバーを握りながら締め付けるとやりやすいです。あれ?ワイヤーの先がほつれていますね。
この場合はワイヤーごと交換しても良いですが、このように先端にエンドキャップをつけて対処する方が早いです。ショップでブレーキワイヤーのエンドキャップと言えば出してくれると思います。5個セットで100円くらいとお財布にも優しいですね。
5.前後ディレイラーの調整、確認
a.フロントディレイラーのワイヤーの取付ボルトの締まりを確認
b.ギアが入りにくい場合はアジャストダイアルで調整
インナーギア(軽い方)からアウターギア(重い方)に入りにくい場合は、ワイヤーが緩んでいる可能性が高い為、ワイヤーケーブル上にあるアジャストダイヤルをワイヤーが締まっていく方向にギアが入るか確認しながら90度(4分の1回転)ずつ回していきます。
※アジャストダイアルによって回す方向が左回しか、右回しかで異なります。調整の際は確認が必要です。ギアの調整やセッティングはメンテナンス初心者から中級、上級者への最初の壁とよく言われますので最初は無理をせず、やり方がわからなければ最寄りのショップへ相談するのがおすすめです。
c.ディレイラーのワイヤーの取付ボルトの締まりを確認
d.フロントギア同様、ギアが入りにくい場合はアジャストボルトで調整
トップ側(重い方)からロー側(軽い方)に入りにくい場合は、ワイヤーが緩んでいる可能性が高い為、リアディレイラーに付属しているアジャストボルトを左方向にギアが入るか確認しながら90度(4分の1回転)ずつ回していきます。
※フロントギア同様、ギアの調整やセッティングはメンテナンス初心者から中級、上級者への最初の壁とよく言われますので最初は無理をせず、やり方がわからなければ最寄りのショップへ相談するのがおすすめです。
6.チェーンへの注油
チェーンオイルはドライ用、ウェット用など用途に合わせて様々ですが、チェーンの1コマずつしっかり注油していくのがうまく注油をするコツです。(写真はドライ用)
2つのオイルの特徴は
ドライ用オイル・・・チェーンに汚れが付きにくくきれいに保てますが、乾きやすいため頻繁に注油が必要です。
ウェット用オイル・・・粘度が高いためオイル効果の持続性はありますが、路面の砂やほこりを拾いやすいのでクリーニングに手間がかかる難点があります。
どちらも1回試してみてから使いやすい方を選んでみてはどうでしょうか。
7.フレーム、フォークの汚れ落とし、ワックス塗布
自転車もきれいにしてるか、そうでないかで印象が随分変わってきますよね。せっかく高い自転車を乗っていてもほこりや汚れが溜まっていたらカッコ良さも半減します。そうならないように最後の仕上げ、フレーム全体の汚れ落としとワックス掛けは大事です。人間でいう身だしなみですかね。いつも働いてくれる感謝の気持ちを込めながら、拭いてあげましょう!
今回のチェーンオイルは右の赤いドライオイル。フレームの汚れ落とし兼ワックスは左のSHOWROOM というもの。ともにFINISHLINE社のものを使用しました。FINISHLINE社のケミカル類は種類が大変豊富で、用途によってしっかり選べるので実は私も重宝しているメーカーなんです。
まとめ
以上1から7までのメンテナンスを順にご紹介しました。これらメンテナンスの順序は意外と重要で、2でも説明しましたが間違えると余計な作業や時間が掛かったりするのでスマートに行いたいですね。コツは最初にルーティーンを覚えて、毎回繰り返すことです。そうすれば失敗しないメンテナンスができるようになります。
毎日通勤でロードバイクを使う場合は、2週に1度、週末のライドのみであれば距離に寄りますが、月に1度の周期でメンテナンスを行ってください。定期的にメンテナンスを行うことでメンテ不足で起こる重大な故障などを未然に防ぐことができます。丁寧にメンテナンスを続けた自転車は、その分長く付き合えるし愛着も沸くはずです。
愛車には必ずメンテナンスを!
東京・西新宿にてポーツバイクのメンテナンス、カスタマイズを中心に展開するサイクルショップ。パンク修理からオリジナルバイクの組立はもちろんのこと、駐輪場内でのメンテナンスや通勤途中のトラブルの出張対応等、時間とスペースを有効に使った新しいスタイルを提案しています。
良いものを長く、大事に使い続けるためのメンテナンス方法やトラブルの原因を丁寧に深く理解できるワークショップも随時開催。年に2度、富士の大自然を目いっぱい楽しむサイクルイベント VIKING に加え、月に2度、猿田彦コーヒー協力のもとVIKING @ TOKYO と称した都内を走るコーヒーライドも主催しています。
詳しくはホームページ、Facebook で情報を発信中。是非ご覧ください。
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プロのメカニックが教える!ロードバイクのメンテナンス7つの工程 is a post from: FRAME : フレイム