
2007年、レーシングカーや航空宇宙産業に関わるイギリスのエンジニア会社「bf 1 systems(ビーエフワンシステムズ)」から誕生したのがファクターだ。2009年にはその工学技術を投入して、革新性、スピード、高性能にこだわって開発された「Factor001」(ファクター001)を発表。これをベースにアストンマーティンとコラボレーションした世界限定77台の「One-77 Cycle」(ワン77サイクル)も製造したが、その価格はおよそ460万円!度肝を抜く展開で話題となった。
その後、2013年には現行モデルの開発基準となった「Vis Vires」を発表し、翌年から現行モデル「One」「One-S」「O2」の開発に着手。新興自転車ブランドながら、2016年にはプロコンチネンタルチーム「One Pro Cycling Team」(ワンプロサイクリングチーム)がファクターの機材を使用し、好成績をおさめている。さらに2017年からはフランスのUCIプロチーム「AG2R La Mondiale」(アージェードゥーゼル・ラ・モンディアル)に機材供給するなど注目を集めている。
特徴は「One」「One-S」のダウンチューブに採用されている「Twin Vane」(ツイン・ヴェイン)。左右ふたつにざっくり割れた形状で、前方からの空気抵抗をフレームの隙間を通してリヤ側に抜く構造となっている。大胆な発想であるが、そのエアロ効果は高い。その他にもレーシングカー作りで培われた空力性能が随所で発揮されている。
それでは下記、ファクターのラインナップを見ていこう。
■One(ワン)
フェラーリ、アストンマーティンなどF1レーシングカーの空気力学を応用したトップモデル。一切妥協のないエアロダイナミック性能で、究極のスピードとコントロールしやすい安定した乗り心地を実現している。ステムはハンドル一体型。フォークにはOTIS(One Total Integration System)を採用している。
- フレームサイズ:51/54/56/58/61
- カラー:ブラック、ターコイズ、AG2Rブルー
- フレームセット:590,000円(税別)
- 完成車(シマノ・デュラエースDi2):1,320,000円(税別)
■One-S(ワンS)
卓越した空力性能を持ち、軽量と剛性のバランスに優れているレーシングバイク。OTISフォークと同等のエアロ効果を持つShankフォークを採用している。ラインナップとしてはセカンドグレードだが、その走りに遜色はない。
- フレームサイズ:51/54/56/58/61
- カラー:ブラック、ブルー、レッド、AG2Rブルー
- フレームセット:510,000円(税別)
- 完成車(シマノ・デュラエースDi2):1,200,000円(税別)
■O2
メーカー公表740gの軽量フレームと空力性能をあわせ持つ一台。ヒルクライムなどオールラウンドに活躍するレーシングバイクだ。独自にシステム化されたハンドル&ステムと、AERO Svelteフォークを採用している。
- フレームサイズ:49/52/54/56/58/61
- カラー:ブラック、レッド、ターコイズ、AG2Rブルー
- フレームセット:540,000円(税別)
- 完成車(シマノ・デュラエースDi2):1,200,000円(税別)
総じて高価なのが印象だが、プロレースの現場で使用されているモデル群なので仕方がない。ブランドの現オーナーは、ツール・ド・フランスでグリーンジャージの獲得経験を持つバーデン・クック。レースを知る者が作る自転車は一味も二味も違う。今季のツール・ド・フランスでも、ファクターに乗るアージェードゥーゼル・ラ・モンディアルのピエール・ラトゥールが第3ステージのホワイトジャージ(マイヨブラン)を獲得。ますますの活躍を望みたいところだ。
新興ブランド「Factor(ファクター)」工学技術を駆使しエンジニア集団が作り上げたロードバイク is a post from: FRAME : フレイム