
ロード乗りならSHIMANOのコンポは知らない人はいないだろうが、SHIMANOのホイールのイメージはつくだろうか?数あるホイールメーカーのなかでも、シマノホイールといえば「優等生」な存在。
初めて完成車ホイールを交換する人のために、シマノホイールの特徴やおすすめモデルを交えながらわかりやすく解説していこう。
完成車ホイールの交換=いきなりスゴイ

ロードバイク初心者が手っ取り早く「初心者脱却」をもくろむならば、ホイールを交換するのが一番だ。10数万円程度の完成車エントリーモデルには安いホイールがアッセンブルしていることが多く、いわゆる「鉄下駄」と呼ばれる重いものだ。

▲重い鉄下駄……
この鉄下駄を5~8万円程度のホイールに替えてみれば、あら不思議。いままでとは異なる軽さと軽快なライドフィールを得ることができて「あれ?」とビックリする。特に登坂時など、スイスイ走れてその威力を発揮する。
それを初心者は「ズルい」と感じる。「なんでもっと早く教えてくれないんだよー!」というわけだ。
では数あるホイールのうちSHIMANOのホイールを選ぶ理由とは?「シマノらしいホイール」が何たるかを紹介していこう。
シマノのホイールとはズバリ優等生

今回紹介するのは国産自転車パーツの雄・シマノ。デュラエースを筆頭にコンポーネントで世界シェア一位のメーカーである。1999年より完組ホイールにも積極的に取り組んでおり、その性能はプロレースシーンでも高い評価を得ている。
コンポーネントの区分け同様、105/アルテグラ/デュラエースといったカテゴリーがあり、使用するライダーの経験と脚によって選ぶことができる。品質はどれもベスト。ベストすぎて二の句が継げないほどのポテンシャルを持ち抱いている。
価格は他のホイールメーカーよりやや安めで、デザイン的にはあまり特徴がない。カンパニョーロやフルクラムと比べて見た目は地味であるが、見た目の特別さがないのが逆にシマノらしさと言っていい。突出したデザイン性はなくとも、シマノほどバランスのとれたホイールもなかなかないのだ。
シマノホイールのテクノロジー
ラインナップ紹介の前に、シマノのホイールに詰め込まれたテクノロジーを整理しておこう。
オプトバルスポークシステム

オプトバルスポークシステムとは、駆動系の14本と非駆動系7本で構成される21本のスポーク組みのこと。
近年のリアスピードの多段化により、従来の1:1スポーク組みではテンションのアンバランスがどうしても生じてしまう。こうしたアンバランスは、新しい11スピードカセットを使用するときにさらに大きくなり、駆動側のスポークに約2倍のテンションがかかる。
一般的にスポークテンションがアンバランスだと、破損やニップルのゆるみを招く傾向があり、耐久性や強度にも影響する。そこで生み出されたオプトバルデザインは、テンションのバランスを最適化することでホイールの剛性や強度を向上し、高い反応性と耐久性を実現。
エクストラワイドフランジ

左右2つのハブフランジとリムの間にできる三角形のベース部分を拡大。これにより横方向の強度を最大限に引き上げている。
また、カセット側のスポークの角度を抑えることで横剛性が向上し、駆動側と非駆動側でスポークのテンションを均一化。このフランジを装備したホイールはクラストップクラスのねじれ剛性を発揮し、パワー伝達効率を押し上げている。
カーボンテクノロジー
- カーボンリムテクノロジー
材質、積層方法、硬化、および成形プロセスを最適化することで、優れたバランスを果たしている。強くかつ軽量で耐久性に優れ、スムーズなブレーキングが可能。 - カーボンラミネート構造
複数の層に重ねられた軽量で単一指向性を持つカーボンファイバーを超軽量のアルミニウムリム上に配置し、重量、剛性、そして乗り心地の最適なバランスを実現。両材質の強さと緩衝特性を合わせ持つ優れたリムを作り上げている。 - Tナットリム
ロースポークホイールでは、スポークのテンションが非常に高くなるため、従来のリム構造を変更する必要があった。そこでエンジニアたちは、応力の高いポイントを補強することに特化したTナットテクノロジーを開発。ねじ付きのリムとニップルの接触面も、スポークの軽量化を図りながら剛性の向上に貢献する。最適なスポークテンションが効率的に維持されるため、重量を最小限に抑えながら強度と剛性を高めている。 - リムデザインストラテジー
シマノの革新的なリムデザインストラテジーは、基本となる非常に軽いリム構造が出発点。これに、耐久性基準に達するために必要な最小限の要素を加えている。そうすることで並外れた軽さ、強靭さ、そして耐久性を実現。速さや非常にスムーズな走行感にとってのカギとなる上質さを得ている。
D2リム

この機能を設計するにあたり、エンジニアは向かい風と横風を考慮し、実際のライディング条件下で最適な性能を得ようと考えた。試作品を用いて風洞や路上でのテストを重ねた結果、深いタイヤベッドを持つワイドリム形状が様々な条件の中で最も良く機能することに着目。
そこで開発された「D2リム」はヨー角(向かい風と横風が合わさった相対的な風の角度)が0〜15度のときに、従来のエアロダイナミクス性を持つリムよりも空気抵抗を軽減することに成功した。この新しいリムデザインはホイールの横剛性を高め、縦方向のコンプライアンスを改善し、路上での優れた制御性、快適さ、そして耐久性を実現している。
デジタルコーンベアリング・アジャストメントシステム

デジタルベアリング調整システムによりメンテナンスが容易となり、調整や整備が簡略化されている。ダブルロック不要のデジタル調整を基本とすることで、緻密なベアリング調整に必要な工具は5mmの六角レンチだけとなった。
アンギュラコンタクトカップ&コーンベアリング

地面と垂直な方向にかかる応力のみを受け入れる工業用ベアリングとは対照的に、アンギュラカップとコーンベアリングの技術は、半径方向にまっすぐかかる負荷、そして斜め方向の負荷に対抗できる力を発揮。
速い走り、少ないメンテナンス、長い製品寿命、そして他にはない乗り心地が得られる。
E-THRU アクスル
この技術は、サスペンションのひずみを最小限に抑える構造となるようにデザインされている。機能的効果や利点においては、最適化されたローターやカセットの精度、軽量化、そしてシステム全体の剛性向上が挙げられる。
105/ULTEGRA/DURA-ACEの特徴

最後にホイールを網羅的に紹介していく。まずは各カテゴリー全体のイメージを見ていきたいのだが、正確には現在シマノホイールではデュラエース以外にグレード名が設けられていない。105とアルテグラに関しては相当するグレードのものと考えてほしい。
- 105(に相当するグレード)
比較的廉価で汎用性があるタイプで、高いコストパフォーマンスを持つシリーズ。プロレース向けのテクノロジーが、日常のライディングニーズに応えるタイプとなっている。空気力学を考慮したスリムなプロファイルと強靭な構造が一体となることで、様々な用途に応じた性能を発揮。 - アルテグラ(に相当するグレード)
シマノ製ホイールの中軸を担うグレード。日常の練習用からレースまで、幅広く使えるオールラウンドなモデルが揃っている。下記に触れる「WH-RS500」など、初心者からステップアップするためのホイールである。 - デュラエース
プロが使うハイエンド・シリーズ。スピードを求めて空気力学特性を向上させたモデルから、軽量で優れた動力性能を極めたモデルまで、レースで究極な走りを求めるライダーが使用。価格も高く、廉価なロードバイクが一台買えそうな「憧れ系」である。
それではシリーズ別に各ラインナップを挙げていこう。
105 クラス(相当グレード)
コスパに優れた105シリーズ。低価格ながらディスクブレーキ、チューブレスタイヤに対応した新作は必見。
WH-RS330

エアロ効果を気軽に体感できる、リムハイト30mmのクリンチャーロードホイール。オプトバルスポークシステムを採用し、向上した剛性、耐久性、軽量さの最適なバランスを果たしている。リム幅は20.8mmで、推奨タイヤサイズは23~32mm。
重量:2051g(前後ペア)
価格:12,547円(フロント/税抜)
14,728円(リア/税抜)
WH-RS300

エアロダイナミクス性能と剛性を高い次元で両立した新型クリンチャーホイール。シマノのホイールテクノロジーをより身近に感じられるモデルである。リム幅は23.2mm、リムハイトは24mmだ。推奨タイヤ幅は23~32mm。
重量:1827g(前後ペア)
価格:10,328円(フロント/税抜)
11,414円(リア/税抜)
WH-RS100

17Cのワイドリムにより高い快適性と信頼性を実現。コストパフォーマンスに優れる11スピード対応のクリンチャー新型モデルだ。リム幅は23.2mm、リムハイトは24mm。推奨タイヤ幅は23~32mmである。
重量:1897g(前後ペア)
価格:5,978円(フロント/税抜)
6,794円(リア/税抜)
WH-RS010

シマノ定番中の定番であるクリンチャータイプ。買い求めやすい価格で優れた加速性、耐久性を体感できるエントリーモデルだ。リム幅は20.8mm、リムハイトは24mm。推奨タイヤサイズは23~32mmとなっている。
重量:1920g(前後ペア)
価格:6,520円(フロント/税抜)
7,667円(リア/税抜)
WH-RS370

45mm幅タイヤまで対応のチューブレス&クリンチャー新型モデル。様々なコンディションにおいて安定したライディングを実現するディスクブレーキ専用ホイールである。リム幅は24.6mm、リムハイトは19mm。推奨タイヤ幅は28~45mmだ。
重量:1980g(前後ペア)
価格:11,686円(フロント/税抜)
12,772円(リア/税抜)
WH-RS170

▲左がホワイト、右がブラック
ディスクブレーキの性能をより手軽に味わえる専用モデル。E-THRUアクスル、センターロック採用のエントリーモデルだ。リム幅は23mm、リムハイトは24mm。推奨タイヤ幅は25~38mmとなっている。
重量:2091g(前後ペア)
価格:8,152円(フロント・ブラック/税抜)
8,696円(フロント・ホワイト/税抜)
9,512円(リア・ブラック/税抜)
10,056円(リア・ホワイト/税抜)
ULTEGRA クラス(相当グレード)
幅広いユースに対応する使い勝手が魅力=初心者脱却に最適なシリーズ。今回おすすめするWH-RS500もラインナップされている。
WH-RS700-C30-CL

上級モデルのテクノロジーを継承した、カーボン&アルミコンポジットのクリンチャーエアロモデル。チューブレスタイヤにも対応し、高速走行で真価を発揮する。リム幅は20.8mm、リムハイトはフロント24mm、リア28mmの非対称となっている。
重量:1540g(前後ペア)
価格:38.613円(フロント/税抜)
44,874円(リア/税抜)
WH-RS500

これまで人気を集めていた「WH-6800」の後継アルミニウムモデル。日々の走り、またはレースに高いパフォーマンス性を発揮する、チューブレスとクリンチャータイヤ対応の優れたオールラウンドホイールだ。空気力学を考慮したスリムなプロファイルと強靭な構造が一体になることで、様々な用途に応じたハイクラスな性能を持つ。リム幅は20.8mm、リムハイトは24mm。推奨タイヤ幅は23~28mmである。
重量:1649g(前後ペア)
価格:23,644円(フロント/税抜)
25,274円(リア/税抜)
初心者にWH-RS500が最適な理由とは
Our wide range of wheels meet the needs of nearly every rider and discipline, the newest of which outdo their predecessors in both performance and value.
— RideShimano (@RideShimano) 2018年4月28日
WH-RS700 and WH-RS500, offer more performance, versatility, and value than ever before. Learn more > https://t.co/PmUNgnjzsr pic.twitter.com/TlDr04fQ1L
カンパニョーロ、フルクラム、マヴィックといったホイールメーカーにおいて繰り広げられているミドルグレードの激戦区に参入した一品だが、ペア5万円という価格は最大の魅力。ライバルとなるカンパニョーロ・ゾンダやフルクラム・レーシング3と比べても、価格はこちらのほうが優勢でありながら、シマノならではの高いメンテナンス性や高精度のハブなど性能も見劣りしない。
初心者が最初に交換するホイールとして自信を持っておすすめする機材だ。
DURA-ACE シリーズ
プロユースの「憧れ系」シリーズ。総合的なバランスがとれた一級品ホイールを求めるならこのシリーズから。
WH-R9100-C60

▲WH-R9100-C60-CL

▲WH-R9100-C60-TU
過酷なトライスロンやロードTTで勝つためのパフォーマンスを引き出す、プロ仕様のカーボンホイール。低慣性と空気力学特性を両立し、D2リム、オプトバルスポークシステムを採用している。また高剛性ながら軽量で、メンテナンスが容易なモデルである。リム幅はチューブラーが28mm、クリンチャーは22.4mm。リムハイトはチューブラーが60mm、クリンチャーは50mm。
重量:1496g(チューブラー前後ペア)
1851g(カーボンコンポジットクリンチャー前後ペア)
価格:301,252円(チューブラー前後セット/税抜)
207,796円(クリンチャー前後セット/税抜)
WH-R9170-C60

▲WH-R9170-C60-TU

▲WH-R9170-C60-TL
プロの能力を引き出すレースパフォーマンス、あらゆる天候でも発揮される信頼性を得ている超軽量フルカーボンモデル。D2リム、オプトバルスポークシステム、E-THRUアクスルなど高い性能を持つ。またディスクブレーキシステム「センターロック」搭載。リム幅はチューブラーが28mm、チューブレスは24mmだ。リムハイトはチューブラー、チューブレスともに60mm。
重量:1500g(チューブラー前後ペア)
1647g(チューブレス前後ペア)
価格:140,779円(チューブラー前/税抜)
164,997円(チューブラー後/税抜)
120,812円(チューブレス前/税抜)
141,540円(チューブレス後/税抜)
WH-R9100-C40

▲WH-R9100-C40-TU

▲WH-R9100-C40-CL
低慣性と空気力学性を両立して優れた加速レスポンスを持つ、カーボンチューブラー&カーボンラミネートクリンチャーモデル。オプトバルスポークシステムにより向上したドライブ剛性、メンテナンスの容易さが特徴だ。また、デジタルコーンベアリング・アジャストメントシステムを搭載。リム幅はチューブラーが28mm、クリンチャーは20.8mmだ。リムハイトはチューブラーが37mm、クリンチャーは35mm。
重量:1384g(チューブラー前後ペア)
1508g(クリンチャー前後ペア)
価格:303,260円(チューブラー前後セット/税抜)
199,613円(クリンチャー前後セット/税抜)
WH-9170-C40

▲WH-R9170-C40-TU

▲WH-R9170-C40-TL
プロツアーで威力を発揮する信頼性と高パフォーマンスが秀でた、ディスクブレーキ対応モデル。上位機種同様、低慣性と空気力学特性を両立し、加速レスポンスが向上している。高剛性ながら軽量で、オプトバルスポークシステムによりドライブ剛性に長けている。また、E-THRUアクスルを搭載。リム幅はチューブラーが28mm、チューブレスは24mmだ。リムハイトはチューブラー、チューブレスともに37mm。
重量:1400g(チューブラー前後ペア)
1586g(チューブレス前後ペア)
価格:142,141円(チューブラー前/税抜)
166,579円(チューブラー後/税抜)
114,538円(チューブレス前/税抜)
134,175円(チューブレス後/税抜)
WH-R9100-C24

軽さを感じるカーボンラミネートクリンチャー。優れた剛性とパワー伝達性能を発揮するワイドフランジハブとオフセットリムで、高効率ドライブトレインを構築する。軽量チタン製フリーハブを採用し、ボディメンテナンスが容易。また、デジタルコーンベアリング・アジャストメントシステムを搭載している。リム幅は20.8mm。リムハイトはフロント21mm、リア24mmの非対称だ。
重量:1456g(前後ペア)
価格:145,064円(前後セット/税抜)
実直な走りに信頼のシマノホイールを
派手さはないが、実直に走りを追求するライダーをサポートするシマノのホイール群。どれも強靭で軽量、高剛性を誇るモデル揃いである。最新テクノロジーを惜しげもなく投入し、プロからホビーライダーまで用途に応じた製品を作り出している。初心者にも優しい。
毎日の走りを最高のパフォーマンスに——。ホイール選びに悩んだら、その候補にして間違いはない!
SHIMANOホイール徹底解説|アルテグラグレードWH-RS500が脱初心者への最適解!? is a post from: FRAME : フレイム