
こんにちは。自転車メカニックの石橋です。
スポーツ自転車のユーザーが年々増え続けています。それに比例するように、自転車の盗難も増えています。高級自転車を盗み、オークションサイトに出品して儲ける手口などニュースで報じられることも多くなりました。
盗まれた自転車が戻ってくるのはめったにないと言われています。最近は盗まれた自転車の画像をSNSで発信することで、盗難に遭ったことを様々な人たちに知ってもらえるようになりましたが、なかなか取り戻すのは難しいようです。
そうなると盗まれてからでは遅いということがわかると思います。盗難を未然に防ぐことが必要になってくる訳です。そこで重要になってくるのが鍵です。
今回は盗難から自分の自転車を守るために絶対必要な鍵について取り上げます。私が盗難を予防するために工夫してきたことやおすすめの鍵をご紹介することで、防犯意識の向上や安心できる鍵の購入につながればと思います。
実は多い鍵の種類
自転車の鍵と言っても膨大な数があり、様々な種類に分けられます。例えば強度のある鍵は高い防犯性を誇り、安心して長時間駐輪することが可能です。その反面、重かったり、持ち運びがしづらかったりデメリットもあります。
具体的な種類を挙げていくと、
チェーンロック
リング状の鉄をつないだロックです。リングの太さや大きさで、強度と重さが決まります。
U字ロック
U字ロックは強度が一番高いと言われ、オートバイや原付バイクにも使用されているタイプです。その反面、携帯性があまり高くないので、常に持ち運ぶのに不便な場合があります。
ブレードロック
鉄のプレートを埋め込み、折り畳みができるように可動する鍵です。プレートの太さや長さで強度と重さが決まります。
一方で携帯性が高い鍵も存在します。それはワイヤーケーブルを使用したものやコンパクトなものです。チェーンロックよりも軽量にできるため鍵の長さを長くできます。
ワイヤーロック
自転車の鍵で一番多く使われている鍵がワイヤーロックではないでしょうか。スチール製のワイヤーを束ねることで太くも細くもできるのでバリエーションが豊富です。
フォールディングロック
ブレードロックと同じ構造ですが、鉄のプレートを薄く、小さくすることで、持ち運びをしやすくした鍵です。
信頼できる鍵とは
様々な鍵の種類を上げましたが、その鍵を開けるキーも防犯上大きな役割を担っています。キーは主に2つの種類があり、回して開けるタイプと暗証番号をそろえて開けるナンバー式タイプです。信頼度はキーを回すタイプの方が高いと言われますが、品質によってはナンバー式の方が良い場合があります。
その理由はキーが回しにくい、変形しやすい、全く別の鍵でも開いてしまうなど中には品質が高くないものが存在するからです。最悪の場合、キーを回したら折れてしまったという例も聞きます。ナンバー式の場合、時間さえ気にしなければいつかは鍵が開いてしまう仕組みで心配な面はありますが、別の鍵で簡単に開いてしまうよりはマシですよね。
信頼できる鍵の条件の一つに、強度があってキーやカギ穴に安全性が高いものが挙げられると思います。例えば、家の鍵にも使用され、ピッキングに強いと言われるディンプルキーを採用したものやキーに番号が刻印され、その番号を伝えるとスペアキーが作れるものなどです。
自転車を停める場所
自宅以外の場所で自転車を停めるときは、基本的に駐輪場を利用しましょう。駐輪場以外の公道に長時間停めてしまうと、放置自転車扱いとなってしまいます。放置自転車はご存知の通り違法です。撤去され後日引き取りに行く際に撤去料も掛かってきます。
そうはいっても、ちょっとコンビニに寄ったり、短時間だけ停めたいときに、わざわざ駐輪場を探すのも手間ですよね。そのような時は、道の脇に寄せて停めるのは仕方がないと思います。
鍵の掛け方
では、具体的にどのように鍵を掛けたらよいのか。私の経験からおすすめの鍵の掛け方をご紹介します。
1.鍵は2つ用意する
ダブルロックという言葉を聞いたことがありますか?1台の自転車に2つの鍵をかけて、防犯性を高めることです。私の場合は、大小2つの鍵を使ってダブルロックをしています。大きい方はチェーンロック、小さい方は細めのワイヤーケーブルロックです。
2.前輪とフレーム、さらに動かないものと一緒にカギをかける
スポーツ自転車の場合、メンテナンスのしやすさから工具なしで前後輪を外すことができます。つまり知識さえあればだれでも外せるという事です。そのため前後輪にカギを掛けることをおすすめします。
まず大きい鍵の方を前輪とフレームに、さらには動かないものに通し、合計3箇所にわたって鍵を掛けます。駐輪場の場合はタイヤをはめるレールなど地面に固定されているものに掛けましょう。なぜ大きい方が前輪かというと、比較的前輪の方が後輪よりも楽に取り外しができるため、それだけ盗難のリスクが高まるからです。
3.後輪とサドルにカギをかける
続いて小さい鍵を使い後輪とサドルにカギを掛けます。後輪とフレームに掛けるのでも良いと思いますが、サドルの安全性も確保したいので私はサドルと後輪に鍵を掛けています。
目的別にみる鍵の選び方
私のおすすめする鍵の掛け方を紹介しましたが、乗る場所や乗り方によって選ぶ鍵も異なってくると思います。その中から自分に合ったカギを見つけるには、改めて自転車の使用目的を考えていくと良いでしょう。
以下、目的別で分けたおすすめの鍵をご紹介します。
主に街乗りや通勤で利用
ABUS(アブス) STEEL-O-CHAIN 880 110cm BLACK
街乗りや通勤の場合、強度がありキーや鍵穴も含め高い防犯性を誇るドイツのメーカー、ABUSがおすすめです。ABUSは自転車の鍵の中で一番信頼を置けるメーカーと言っても過言ではありません。日本より盗難が多いと言われる欧米で研究された技術は非常に高く、それゆえ自動車の鍵やホテルのルームキーなども製造している鍵のスペシャリスト企業なのです。
人通りが多く盗難の可能性が高まる街中では、高い強度と防犯性能がある鍵が安心です。さらにこれから挙げる携帯しやすい鍵と併用すればダブルロックも可能です。
ツーリングなどで郊外へ出掛けるときは
crops(クロップス) スパイダーXSPD05/φ2.5×1800mm
(TATE/タテ)(自転車用鍵/ロック)フォールディング ロック II ブラック/ホワイト
ロードバイクで仲間とツーリングに行ったり、田舎道を走るなど長距離を走る場合は、防犯性の高い鍵だと大きくて邪魔になる可能性がります。街中の駐輪と違って、長時間自転車から離れることが少なく、休憩や食事の時に目が届く範囲内で停めるのであれば防犯性を優先するのではなく、携帯性を重視すると良いでしょう。
キーを紛失してしまったら
気になるのは、駐輪している時にキーをなくしたり、ナンバーを忘れてしまった時はどうすればよいかです。ABUSのような信頼性高いメーカーはキーに番号が記されていて、その番号をもとに購入した店舗もしくは取扱店を通じてキーの作成を依頼することができます。そのため購入時に鍵ナンバーを控えておくことが重要です。
再発行ができないキーや鍵本体が壊れてしまった場合は、鍵のトラブルを解決してくれる業者に依頼するのが間違いありません。
盗難被害にあった被害者が語る、徹底しておけば盗難を防げたかもしれない点!
反省ポイント1:一日を越える長時間駐輪をしてしまった
反省ポイント2:自転車を駐輪する際に地球ロックしなかった
反省ポイント3:1つの鍵のみで施錠をして安心してしまった
・・・盗難被害後こちらの方は新しい自転車を購入することになったのですが、そのタイミングで組み合わせを考えて他の種類の鍵を購入した他、場所に応じて極力人目のつく場所に複数の鍵を組み合わせて地球ロックで駐輪するように心掛けるようになったとのことです。
高い防犯性能が盗難の抑止につながる
良い鍵を選んでおけば、絶対に盗まれないとは限りませんが、停める場所・停め方・使用する鍵を工夫することで格段に盗まれにくくすることは可能です。ある調査結果では、自転車を盗むのに5分以上かかる状況なら、盗むのをあきらめるというデータも出ています。
今の鍵に不安を持ってる人は一度ショップをのぞいてみてはいかがでしょうか。あなたにぴったりの鍵が見つかるかもしれません。
プロがすすめる、防犯性能を高める自転車の鍵とは is a post from: FRAME : フレイム